犬小屋という名の倉庫

主にうごメモ、写真を乗っけるように使います。主に使うブログはこっちじゃないです。

リレー小説 ⅩⅩⅡ

久々にやってきましたリレー小説!

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衣玖さん衣玖さん。あ、何も言わなくていいよ、そのまま黙って聞いてて。

 

 …の…り、こ…?

 

いやぁ、お互い散々だねぇ。分かってたけど強いのなんの。ま、君は大丈夫、そのまままだ頑張れるさ。あたしはもう限界だから、この舞台からさよならするけどね。

 

 ……って…

 

またお話聞かせてね。あたしだって最後どうなるか気になるし。ま、一体いつになるやらだけどね。それまで、君は君なりに楽しむといいんじゃないかな。

 

 …か、ないで…

 

できれば一緒に居たかったんだけれどね。あの幸せそーで強い面子の中だったら、あたし達かなり異端だったけれど。でもね。幸せだったよ、私。

 

今だから言えるね。言えるっていうか、言っておきたい、か。あたし、衣玖さんと一緒でよかった。庇おうとしてくれたとき、凄く嬉しかった。だから最後に一言だけ、言わせてね。

 


 ――ありがとう、大好き。

 


…さてと、あたしができるのはここまで。

 

お疲れさま。…あれで、後悔はしてない?

 

あはは、後悔はしてないよ。最後まで関われないっていうの残念だけど、しょうがない。元々、あたしはそういう立場にはいないから。

 

そう。…それじゃあ、後で私が教えてあげるわ。それが、どうなったかを。

 

…大体分かるけれどね。何はともあれ、後は早苗達が何とかしてくれる。あたしがあそこにいても、あれ以上何かできたとは思えない。

 

……そうね。何はともあれ、あの人達ならやってくれるわ。貴方が認めた大切な仲間だもの。

 


…それじゃ、あたしはそろそろ眠たいから一眠りさせてもらうね。

 

えぇ、それじゃ。

 


 ――おやすみさい

 

 

このお話にあたし達は必要だったか。

それを問われると、あたしは苦笑しか返せない。

あたし達は弱い。けれど、弱いなりに精一杯足掻いて、抵抗できたと思う。

正義は勝つ、なんてあるけれど。あれは結局のところ、力比べでしかない。力が強い方が正義という、単純明快な理論。

そもそも、誰かと誰かのぶつかり合いで、その勝った方を支援してる人が正義だと、勝手にもてはやすだけなんだもん。だからどっちが勝とうが、結局正義が生まれるんだよ。

おっと、話が逸れちゃったね。で、その力比べに参加できないような、弱い人々だって居るんだよってこと。絶対強者が勇者で、絶対弱者が話題にも上らないような人たち。

あたし達は絶対弱者。だから、ひっそりと、少数の人たちだけに記憶されればいい。
それが、弱い者なりの願いで、救いなんだ。

 

あたしはここに残すよ。ひっそりと行われた、ちっちゃなちっちゃなお話を。

願わくば、誰かの心に、この物語が語られ続かんことを…

 

 

 

「…っ、まっ……て…!」

「!気がついたか衣玖!」

うめき声のような、けれどどこか悲痛な声。それに気がついた慧音達は、すぐに声の主の顔をのぞき込んだ。

傷は酷いものの、意識は覚醒したらしい。ひとまずは大丈夫だと判断すると、ほっと胸をなで下ろした。

「衣玖、私が誰か分かるか!?」

「あ、れ……けい…ね……さん…?」

まだ声が弱々しく、今にも消えそうだ。が、一応誰かということは分かるようだった。慧音の名を呼んだ後に、すぐに衣玖は誰かを探すために首を動かす。

「…穣子は……穣子はどこです…?」

「少なくとも、私たちは出会っていません。…はぐれたのですか?」

「……」

返ってくる言葉はない。よく見ると、目が潤んでいるのが分かった。何か、彼女にあったのか。早苗の情報から考えると、神である彼女も結界を作ることに専念していそうだが…

「…ねがい……って…きて……」

「……」

頬に涙が伝う。震えて掠れた声はどうやら怪我のせいではないらしい。状況が把握できないながらも、それだけは分かった。分かったからといって、どうしてやることもできない。

「…私たちが穣子を見つけてやるから。守ってやるから。だからお前は安心して休んでくれ。…大丈夫だから。」

推測しかできない今、とにかくなだめるしかない。せめて、安心してもらうしかできない。微笑んで、慧音はそう言った。それに対し、衣玖は何も返さず、ただ愛しい人の名前を譫言のように呟くばかりだった。

これでは、まるで穣子が死んでしまうみたいだ。その様子を見ていて、聡明な彼女はハッとする。

「あ…!」

「どうしたのけーねせんせー?」

「…もしや、その結界の破壊を目論んで妖夢はそちらへ向かったのでは…!」

「!それなら早く向かわないとーー」

鈴仙の言葉を遮るように、とても強い風が吹く。その風は先ほどの刃を彷彿とさせる、とても鋭く尖ったものだった。が、物理的な攻撃ではなく、外傷は誰もできていない。

ただ、そのことに違和感を覚えるくらいに、その風は鋭利だった。

「…早苗?」

「…とは、思えませんよ。早苗さんの神風はもっと優しくて、勇気をくれます。さっきの妖夢さんの攻撃じゃないでしょうか。ほらほら、さっきのあの。」

「……」

それでも、何か違和感を拭えなかった。何が、とは言えないが何かがおかしい。

早苗と妖夢が接触した。これは間違いないだろう。妖夢を攻撃するための早苗の神風か?それでも、何かが違う気がする。妖夢の攻撃…でも、何かが違う。

言うなれば、狂気ールナティックーに目覚めた者が達する何か、そんな気がする。
もしもそれが当たったのならば…いや、考えるのはよそう。きっと、気のせいだから。

…そう、正当化したいという本音に、誰もが気がつかなかった。

 

 

 

彼女はどちらかといえば絶対強者だった。

自分の信念に従っていれば、守れないものなんてないと思っていた。

消失感。自分の手からこぼれ落ちる感覚。

それを、彼女は初めて味わった。

一つの失態、それから繋がったこの事実。

ただただ、悔しかった。

あぁ、あの竜宮の使いはいつもこんな思いをしていたのか。

それさえも、今は考えられなかった。

今はただ、目の前に居るそいつが許せない。

自分から大切なものを奪ったそいつが許せない。

…恐らく、それは奇跡の神が初めて味わう感情だった。

 

戦況は一方的だった。早苗がただ一人で、妖夢に対して攻撃をしかけていた。それを何とか避けるものの、激化した攻撃を全て防ぐのはとてもではないが無理だった。

妖夢…の、ドッペルとしてはこの事態はとても都合が悪かった。自覚がないとはいえ、自分自身が浄化されたいかされたくないか、まだはっきりと答えは出ていないのだ。目の前には結界がある、だからひとまずはそれを壊してまだ時間稼ぎがしたい。

が、その前にいる奇跡の申し子がそうさせてくれない。それどころか、下手をすると消滅させられてしまう。流石にまずいと思い始めていた。

早苗は完全に本来の目的を忘れ、ただ目の前の存在を消すということしか頭に無かった。感情のままに動く彼女の攻撃は少しずつ性質が変化していた。本来、彼女は誰かを傷つけることはあまり好まない。そんな彼女の霊力は不思議と優しいものを感じることができた。だが、今はそれどころか攻撃的で、鋭く尖ったものになってきていた。

霊力の性質変化は、ある意味では珍しいものではない。その者の名前が変わって司るものが変化した場合、簡単に性質が変化する。語り継がれる神話が変えられた場合もそれは変化する。

そして、感情に、とある感情に身を委ね始めた場合もまた一つ。

「開海『モーゼの奇跡』!」

妖夢の左右から、大きな波が寄せてくる。それは彼女を飲むためではなく、動きを制限させるためのものだった。その制限された動きの中で、その者を捕らえるかのように弾幕を打ち込む。

というのが、いつもの彼女のやり方だった。

「っ…!」

「ーー穿て。」

上に飛んでしまえば。そう思って飛行体勢に入ろうとして気がつく。蒼波から槍状になった弾丸が飛んでくる。飛べば間違いなく貫かれる。そう判断し、そのまま背後へ跳んだ。

その槍は自分の上方からだけではなく、左右の波の全てから生成され、放たれる。あまりの数に、いくつかそれは彼女の体を捕らえた。

「ーーーっ!!」

激痛。幽霊にも痛覚があるというのは変な話だ。声にならない悲鳴をあげて、再び刀を構える。戦い続けるのは少し難しくなってきていた。

とりあえず、一度引かなくては。距離を離そうとする妖夢に対し、早苗はお構いなしだった。

「…なぁんだ。やっぱり、持ってたのね穣子。いや、それとも持たされたのかしらね。」

表情に笑みが浮かんだ。ただそれは、あまりにも彼女らしくなかった。

ヒュッと一枚のスペルカードを取り出す。そのスペルカードを、早苗は今まで扱ったことがない。だが、何とかなるだろう。そんないつもの、けれどいつもとは違う思考回路の元それをスペルカードとは違う形で発動させた。

「出てきなさい…ロストウィンドロウ!」

地面に手を置き、自分の霊力を大地に流し込む。無限に霊力を食われそうな感覚と共に、体に痛みが走る。が、知っていたというようににやりと笑った。

少しすると、一本の木のような杖が地中から伸びる。強い霊力を帯びた、神木のように感じるそれを早苗は掴み、そして半霊に対して先端を向けた。

「古い道…記憶から忘れられた。…何で記憶から忘れられたか、知ってる?」

「……」

でしょうね、とくすりと笑う。少し近づいて、

「とある紅葉の神が言ったわ。…覚えている人など、後に残らなかったからだってね!」

至近距離から、一つの強い神風を吹かせた。

その木杖は奪う物。辺りの霊力だけでなく、魔力も妖力も自身に還元し、扱えるようにする触媒とも言える機能を果たす。ただし、作る際に自身の力を大量に使うため、

そこで全ての力を奪われ、作り出すに至らなかったということだってあり得る。

その杖は、酷く手に馴染んだ。困ったことに、とても馴染んでしまった。

 

 

 

3884字!更新遅くなってごめん、大学くっそ忙しかったのと最初から全部読み直してた!
しっかし今回、グッダグダもいいとこよ!何だこれ!?ほんっと何だこれひぃっで!!
一応繋ぎ的な回にしようかな思ったんだけど…あんまりなってないなぁ。…あと、一人少なくてるの、これを狙って…だったのか?それさえも覚えてないっていうこのw

っていうか、久々に読み直して思ったけど私過激ね!?なんか、皆問題起きてて笑ったわ畜生!!
ってところで…次、久々にキバリんよろしく!


その頃の雷鼓さん。

雷「いやぁ楽しかった!」

幽「ぜぇぜぇ…ったく、乗せられちゃったわ…!」

レ「流石何でもリズムに乗せる程度の能力ね、やられたわ。」

ア「ほんとにね!」

幽「って、あなた居たの。」

ア「当然じゃない。こんな美味しい幽レティ、まずみれないもの!グッジョブ雷鼓さん!」

雷「?おう!喜ばせれたのならよかった!」

幽「よくなぁい!!」