犬小屋という名の倉庫

主にうごメモ、写真を乗っけるように使います。主に使うブログはこっちじゃないです。

パズドラの塗り絵メイキング

アマテラスさん塗り塗りして、せっかくなのでメイキングに起こしてみました。今回は水彩色鉛筆メインの、ちょいちょいカラー筆ペンとちょっとだけ水筆ペン使ってます。カラー筆ペンは彩です(会社によってかなり色が違うので一応明記しておきました)。

 

無駄に長いしなんの参考にもならないから気をつけてね!

違う色で塗ってるっていうのも多いからそれが許せる人だけどぞ!

 

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1、面積が広いところをまず決めてカラー筆ペン(藍、黄土、紫)で影を付けます。メリハリを付けるための影なので、あまり塗り過ぎないようにしました。

さりげなく衣の部分を髪の毛と思って開始5分でミス発覚ですわっほい!!

 

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2、乾いてからカラー筆ペンより少し淡い色で、塗った部分も含め影をつけていきます。ちょっと淡かったのでもうちょっと濃い色を塗り足しました。

 

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3、髪の毛を塗り進めます。前衛に近い髪に空色のカラー筆ペンでアクセントをつけ、ハイライト付近に黄色と黄緑を色鉛筆で入れます。後衛の髪の毛はめちゃくちゃ塗り忘れてますが後で塗ります。えぇ、髪の毛って気付かなかったんです…!!

 

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4、袴の方を赤と朱色で塗り進め、綿棒でぼかしをいれてグラデーションにします。着物の部分は十分なのでこのままで。

 

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5、肌に入ります。こげ茶の色鉛筆で影を付けた後、薄橙色で上からなぞり、伸ばしていきます。その後オレンジを淡く塗り、調整をかけます(正直オレンジの薄塗りだけでも十分ですが、気に入らない場合は肌色やピンク、黄色をうっっっすら入れてみましょう)。あまり濃くなりすぎないように気をつけましょう。

 

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6、完全袴の塗り忘れです。

 

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7、目を塗り進めます。

青、緑、黄色で目を塗り、少し調整を入れたのちに白目のところに灰色で影を入れます。その後茶色まぶた、松葉色でアイライン、空色で眉毛をいれます。その後修正液でハイライトを入れて目は完成です。目は濁らない程度にしっかりと塗り重ねましょう。

 

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8、袴の花を塗ります。ちょっとハイライトを残して塗り、オレンジでアクセントを入れると光沢感が出ます。

 

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9、後ろの髪の毛を塗ります。後ろになる分、濃くなるように塗ることにより奥行きとか多分そういうのが出ます。

 

 

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10、上の服を袴と同じ色で塗ります。特に言うことないですね!!

 

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11、神木は後衛を松葉色のカラー筆ペンで、塗った上からベタ塗りします。枝は茶色で塗り、葉と枝のハイライトにレモン色を用いました。

 

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12、金の装飾は、こげ茶を塗った後に黄土色のカラー筆ペンでなぞり、黄色と黄土色の色鉛筆でハイライトに気をつけながら塗ります。思いっきりこげ茶を入れた方がそれっぽく見えるので、ここは大胆に。

 

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13、帯を光沢感が出るように塗っていきます。

 

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14、塗り残しをつぶしていきました(これでもまだまだ塗り残しありました…ぐぬぬ

以下、羽衣まで特に言うこともない気がしたので、ちょっと早送りします。

 

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15、羽衣の色は淡く、塗り過ぎないように気をつけましょう。その後、羽衣の下に何かある場合、その色を少し羽衣に入れてやることで透明感が出ます。

 

というわけで一旦ご本人様終了です!ここから背景に入ります。背景は「主体となるものが埋もれないよう、あまり力をいれずに塗る」ということが大切なので、割と適当にさくさく塗っていきます。

 

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16、まずエフェクトと紐から入りました。エフェクトは草はほぼ若草色のベタ塗りで、光はオレンジの色鉛筆を塗った上で黄色を塗り、ちょっと濃かったので足元部分以外は水筆ペンでぼかしました。紐は松葉色を影に、緑と黄緑でハイライトを残しつつ塗り進めます。

 

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17、後ろの金装飾を塗り進めます。ハイライトをつぶさないように気をつけましょう。

 

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18、宝石部分を塗り進めます。左下に一番濃い色をもって行き、右上にハイライトが来るように統一して塗っていきました。

 

…小物全部を紹介するのはとても大変なので省略しますすいませぬ!

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で、これから手直しをくわえて、

 

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これにて完成しました!ちょっと手元の光の具合が面白いくらいに失敗してますが目を瞑ってくださいませ…!!

総計約13時間の塗り絵でした、それにしても…この元の絵を描いた方の根気が凄すぎて改めて感動しました。実はパズドラはつい最近始めたばかりで、塗り絵を買ってからパズドラを始めました。普通逆ですよね!

アマテラスさんは始めのガチャで出てきてくれて、唯一分かるキャラだったのでこれは塗るしかないと思い塗りました。いやぁ、楽しかったです…!!

 

ともあれ、ここまで見てくださりありがとうございました、メイキングは以上となります!

リレー小説 ⅩⅩⅡ

久々にやってきましたリレー小説!

21→ 

sakura29.hatenablog.com

20→

chaos819angel.hateblo.jp

 

 

 

衣玖さん衣玖さん。あ、何も言わなくていいよ、そのまま黙って聞いてて。

 

 …の…り、こ…?

 

いやぁ、お互い散々だねぇ。分かってたけど強いのなんの。ま、君は大丈夫、そのまままだ頑張れるさ。あたしはもう限界だから、この舞台からさよならするけどね。

 

 ……って…

 

またお話聞かせてね。あたしだって最後どうなるか気になるし。ま、一体いつになるやらだけどね。それまで、君は君なりに楽しむといいんじゃないかな。

 

 …か、ないで…

 

できれば一緒に居たかったんだけれどね。あの幸せそーで強い面子の中だったら、あたし達かなり異端だったけれど。でもね。幸せだったよ、私。

 

今だから言えるね。言えるっていうか、言っておきたい、か。あたし、衣玖さんと一緒でよかった。庇おうとしてくれたとき、凄く嬉しかった。だから最後に一言だけ、言わせてね。

 


 ――ありがとう、大好き。

 


…さてと、あたしができるのはここまで。

 

お疲れさま。…あれで、後悔はしてない?

 

あはは、後悔はしてないよ。最後まで関われないっていうの残念だけど、しょうがない。元々、あたしはそういう立場にはいないから。

 

そう。…それじゃあ、後で私が教えてあげるわ。それが、どうなったかを。

 

…大体分かるけれどね。何はともあれ、後は早苗達が何とかしてくれる。あたしがあそこにいても、あれ以上何かできたとは思えない。

 

……そうね。何はともあれ、あの人達ならやってくれるわ。貴方が認めた大切な仲間だもの。

 


…それじゃ、あたしはそろそろ眠たいから一眠りさせてもらうね。

 

えぇ、それじゃ。

 


 ――おやすみさい

 

 

このお話にあたし達は必要だったか。

それを問われると、あたしは苦笑しか返せない。

あたし達は弱い。けれど、弱いなりに精一杯足掻いて、抵抗できたと思う。

正義は勝つ、なんてあるけれど。あれは結局のところ、力比べでしかない。力が強い方が正義という、単純明快な理論。

そもそも、誰かと誰かのぶつかり合いで、その勝った方を支援してる人が正義だと、勝手にもてはやすだけなんだもん。だからどっちが勝とうが、結局正義が生まれるんだよ。

おっと、話が逸れちゃったね。で、その力比べに参加できないような、弱い人々だって居るんだよってこと。絶対強者が勇者で、絶対弱者が話題にも上らないような人たち。

あたし達は絶対弱者。だから、ひっそりと、少数の人たちだけに記憶されればいい。
それが、弱い者なりの願いで、救いなんだ。

 

あたしはここに残すよ。ひっそりと行われた、ちっちゃなちっちゃなお話を。

願わくば、誰かの心に、この物語が語られ続かんことを…

 

 

 

「…っ、まっ……て…!」

「!気がついたか衣玖!」

うめき声のような、けれどどこか悲痛な声。それに気がついた慧音達は、すぐに声の主の顔をのぞき込んだ。

傷は酷いものの、意識は覚醒したらしい。ひとまずは大丈夫だと判断すると、ほっと胸をなで下ろした。

「衣玖、私が誰か分かるか!?」

「あ、れ……けい…ね……さん…?」

まだ声が弱々しく、今にも消えそうだ。が、一応誰かということは分かるようだった。慧音の名を呼んだ後に、すぐに衣玖は誰かを探すために首を動かす。

「…穣子は……穣子はどこです…?」

「少なくとも、私たちは出会っていません。…はぐれたのですか?」

「……」

返ってくる言葉はない。よく見ると、目が潤んでいるのが分かった。何か、彼女にあったのか。早苗の情報から考えると、神である彼女も結界を作ることに専念していそうだが…

「…ねがい……って…きて……」

「……」

頬に涙が伝う。震えて掠れた声はどうやら怪我のせいではないらしい。状況が把握できないながらも、それだけは分かった。分かったからといって、どうしてやることもできない。

「…私たちが穣子を見つけてやるから。守ってやるから。だからお前は安心して休んでくれ。…大丈夫だから。」

推測しかできない今、とにかくなだめるしかない。せめて、安心してもらうしかできない。微笑んで、慧音はそう言った。それに対し、衣玖は何も返さず、ただ愛しい人の名前を譫言のように呟くばかりだった。

これでは、まるで穣子が死んでしまうみたいだ。その様子を見ていて、聡明な彼女はハッとする。

「あ…!」

「どうしたのけーねせんせー?」

「…もしや、その結界の破壊を目論んで妖夢はそちらへ向かったのでは…!」

「!それなら早く向かわないとーー」

鈴仙の言葉を遮るように、とても強い風が吹く。その風は先ほどの刃を彷彿とさせる、とても鋭く尖ったものだった。が、物理的な攻撃ではなく、外傷は誰もできていない。

ただ、そのことに違和感を覚えるくらいに、その風は鋭利だった。

「…早苗?」

「…とは、思えませんよ。早苗さんの神風はもっと優しくて、勇気をくれます。さっきの妖夢さんの攻撃じゃないでしょうか。ほらほら、さっきのあの。」

「……」

それでも、何か違和感を拭えなかった。何が、とは言えないが何かがおかしい。

早苗と妖夢が接触した。これは間違いないだろう。妖夢を攻撃するための早苗の神風か?それでも、何かが違う気がする。妖夢の攻撃…でも、何かが違う。

言うなれば、狂気ールナティックーに目覚めた者が達する何か、そんな気がする。
もしもそれが当たったのならば…いや、考えるのはよそう。きっと、気のせいだから。

…そう、正当化したいという本音に、誰もが気がつかなかった。

 

 

 

彼女はどちらかといえば絶対強者だった。

自分の信念に従っていれば、守れないものなんてないと思っていた。

消失感。自分の手からこぼれ落ちる感覚。

それを、彼女は初めて味わった。

一つの失態、それから繋がったこの事実。

ただただ、悔しかった。

あぁ、あの竜宮の使いはいつもこんな思いをしていたのか。

それさえも、今は考えられなかった。

今はただ、目の前に居るそいつが許せない。

自分から大切なものを奪ったそいつが許せない。

…恐らく、それは奇跡の神が初めて味わう感情だった。

 

戦況は一方的だった。早苗がただ一人で、妖夢に対して攻撃をしかけていた。それを何とか避けるものの、激化した攻撃を全て防ぐのはとてもではないが無理だった。

妖夢…の、ドッペルとしてはこの事態はとても都合が悪かった。自覚がないとはいえ、自分自身が浄化されたいかされたくないか、まだはっきりと答えは出ていないのだ。目の前には結界がある、だからひとまずはそれを壊してまだ時間稼ぎがしたい。

が、その前にいる奇跡の申し子がそうさせてくれない。それどころか、下手をすると消滅させられてしまう。流石にまずいと思い始めていた。

早苗は完全に本来の目的を忘れ、ただ目の前の存在を消すということしか頭に無かった。感情のままに動く彼女の攻撃は少しずつ性質が変化していた。本来、彼女は誰かを傷つけることはあまり好まない。そんな彼女の霊力は不思議と優しいものを感じることができた。だが、今はそれどころか攻撃的で、鋭く尖ったものになってきていた。

霊力の性質変化は、ある意味では珍しいものではない。その者の名前が変わって司るものが変化した場合、簡単に性質が変化する。語り継がれる神話が変えられた場合もそれは変化する。

そして、感情に、とある感情に身を委ね始めた場合もまた一つ。

「開海『モーゼの奇跡』!」

妖夢の左右から、大きな波が寄せてくる。それは彼女を飲むためではなく、動きを制限させるためのものだった。その制限された動きの中で、その者を捕らえるかのように弾幕を打ち込む。

というのが、いつもの彼女のやり方だった。

「っ…!」

「ーー穿て。」

上に飛んでしまえば。そう思って飛行体勢に入ろうとして気がつく。蒼波から槍状になった弾丸が飛んでくる。飛べば間違いなく貫かれる。そう判断し、そのまま背後へ跳んだ。

その槍は自分の上方からだけではなく、左右の波の全てから生成され、放たれる。あまりの数に、いくつかそれは彼女の体を捕らえた。

「ーーーっ!!」

激痛。幽霊にも痛覚があるというのは変な話だ。声にならない悲鳴をあげて、再び刀を構える。戦い続けるのは少し難しくなってきていた。

とりあえず、一度引かなくては。距離を離そうとする妖夢に対し、早苗はお構いなしだった。

「…なぁんだ。やっぱり、持ってたのね穣子。いや、それとも持たされたのかしらね。」

表情に笑みが浮かんだ。ただそれは、あまりにも彼女らしくなかった。

ヒュッと一枚のスペルカードを取り出す。そのスペルカードを、早苗は今まで扱ったことがない。だが、何とかなるだろう。そんないつもの、けれどいつもとは違う思考回路の元それをスペルカードとは違う形で発動させた。

「出てきなさい…ロストウィンドロウ!」

地面に手を置き、自分の霊力を大地に流し込む。無限に霊力を食われそうな感覚と共に、体に痛みが走る。が、知っていたというようににやりと笑った。

少しすると、一本の木のような杖が地中から伸びる。強い霊力を帯びた、神木のように感じるそれを早苗は掴み、そして半霊に対して先端を向けた。

「古い道…記憶から忘れられた。…何で記憶から忘れられたか、知ってる?」

「……」

でしょうね、とくすりと笑う。少し近づいて、

「とある紅葉の神が言ったわ。…覚えている人など、後に残らなかったからだってね!」

至近距離から、一つの強い神風を吹かせた。

その木杖は奪う物。辺りの霊力だけでなく、魔力も妖力も自身に還元し、扱えるようにする触媒とも言える機能を果たす。ただし、作る際に自身の力を大量に使うため、

そこで全ての力を奪われ、作り出すに至らなかったということだってあり得る。

その杖は、酷く手に馴染んだ。困ったことに、とても馴染んでしまった。

 

 

 

3884字!更新遅くなってごめん、大学くっそ忙しかったのと最初から全部読み直してた!
しっかし今回、グッダグダもいいとこよ!何だこれ!?ほんっと何だこれひぃっで!!
一応繋ぎ的な回にしようかな思ったんだけど…あんまりなってないなぁ。…あと、一人少なくてるの、これを狙って…だったのか?それさえも覚えてないっていうこのw

っていうか、久々に読み直して思ったけど私過激ね!?なんか、皆問題起きてて笑ったわ畜生!!
ってところで…次、久々にキバリんよろしく!


その頃の雷鼓さん。

雷「いやぁ楽しかった!」

幽「ぜぇぜぇ…ったく、乗せられちゃったわ…!」

レ「流石何でもリズムに乗せる程度の能力ね、やられたわ。」

ア「ほんとにね!」

幽「って、あなた居たの。」

ア「当然じゃない。こんな美味しい幽レティ、まずみれないもの!グッジョブ雷鼓さん!」

雷「?おう!喜ばせれたのならよかった!」

幽「よくなぁい!!」

不の3人組慰安会 1

※これはつぶきゃら、セレコ、戯書に使っているキャラクターの雑談会です。

『不運の象徴』ノメァ・ピドュポエガ
つぶきゃら:ただいま休止中(元3049)
『不遇の象徴』ペルナ・クローチェ
セレコ:2496
『不吉の象徴』ファルム・ラボレル
戯書:3331

一切キャラ設定をさらしませんのであしからず…

 

 

 

 


ノ「…あ、いらっしゃい。」

ペ「はぁー疲れたわぁ…相変わらずの不遇な目に遭ってきたわよ。」

フ「お疲れさーん。おねーさんはやっぱり、いつも通り不吉の象徴やってるわ。」

ペ「…思ったけど。私達って結構『そういうつもりじゃなかったのに不○になる』っていう可哀想な天命を元にしてるんだけど、ファルムのそれ、マジでなってんの。」

ノ「私に聞かないってことは私は把握済みってか。」

ペ「泡沫自殺の重い定めを背負ってるそれだけで不幸だわ。見てるだけで移りそう。」

ノ「流石にそこまで強い力は…な、ないわよ?」

フ「否定しろぉー!?…っと、あたしがリアルで不吉な人になってるか、だっけ。なってるよ。」

ペ「意外。どういうとこ。」

フ「いきなり他人の戦闘ログがあたしで埋まる。」

ノ「怖!?」

フ「しかも基本的にロールしないからほんっと唐突。」

ペ「怖!?!?」

フ「挙句、いなくなるときは数日単位。」

ノ「うわぁああああ不吉ぅううううううう!!」

ペ「しかも知らない人のその通知を埋めるっていうのが不吉ぅううううううう!!」

フ「友達いないのよ。いや、おねーさん社交的なはずなんだけどね?」

ペ「説得力のないリンカー数。」

ノ「自分の発言見ても説得力ない。」

ペ「送ったリプの数は?」

フ「もちろんゼロ☆」

ペ「うわああああぁあああ不吉うぅううううううううう!!」

ノ「これはやばいわ、これだけで不吉って漢字二文字がぴったんこかんかんだわ怖。」

フ「…おねーさん何で友達できないと思う?」

ペ「見てるだけで不吉だもの。」

ノ「通知が不吉ね。」

フ「でもキミ達みたいな実績はまずないわよあたし?」

ノ「不幸の実績ってかやかましいわ!」

ペ「私別にそんな…不遇…な…じっせ…」

ノ「…思いついただけどうぞ。」

ペ「…中の人がリレー小説やって。私の出番が消えた。」

フ「うわ。」

ペ「しかも8話中、しゃべれたのは二回。」

ノ「うわ。」

ペ「その前の成り茶でも散々な扱いを受けた。で、セレコでは唐突に闇鍋を食わされる。」

ノ「あーそれは見てたわ。」

ペ「二回死んだわ。」

フ「何があった!!」

ペ「後日再び食わされた。」

フ「なんてむごい!!」

ペ「あ、あとあと。とある女の子から無言で糞をぶん投げられたわ。」

ノ「新手のいじめ。」

ペ「それ、うっかり闇鍋に入れちゃって…思わずなきそうになっちゃったわ。」

フ「それなんて自滅。」

ノ「てか何で持ってんのよ。」

ペ「…私の実績はこんなもんねぇ。ノメァはもう、別のとこにまとめられてるし、いっか。」

ノ「今更感よねぇー。それじゃ…ファルムの不吉の象徴の今後の実績に乾杯。」

フ「ヤメテ。」

ペ「『描いたらお姉さんが大体ババアになって年齢的にめっちゃ不吉な感じがする』っていう実績を築くに一票。」

フ「ホントヤメテ。」

老魔術師のお戯れ 下

「おお、やったぞ!どうやら成功したようだわい!」

「せ…セルリアアアアアアアン!!」

なったらなったでオカンの熱い愛の雄叫びである。しかし魔術に対する興奮もあるようで、どっちを優先しようか悩んだ挙げ句大切な人の安否が優先された、って感じだ。

…まあ、興奮まじりなせいで顔を赤くし笑顔だからなんか、カエルになったセルリアンを笑っている用にも見える。

言いそびれていたが、レグホンはやたらセルリアンに肩入れをする。恋愛というより、親が子供を心配するそれに激しく似ている。本人は親友のような関係だと言うが、どう見てもオカンと娘である。

「…セルリアンさん、ですか?」

「げこ、げこげこ!!」

いえすいえす、と必死にこくこく頷いてみせる。気持ち頷いてる程度かなという感じだが、本人が必死すぎるせいで伝わってくるものがある。

「すっげー!変身したすっげー!!」

約一名ほど、何やら目を輝かせて間違った方向にときめいている脳筋もいるが。残りの人はというと、ドン引きしているテラコッタ、ゲラゲラ笑い飛ばしているシャトルーズ、ただオロオロ困っているカナリアだった。

「いーなー変身かっこいい!セルリアンいーなーいーなー!」

「…カエルだよ?」

どうも、変身というそれにときめきを覚えるようだ。何か違うものに姿を変える、それが叶えば何でもいいのだろう。ニチアサファンでも流石にこればっかりは同意しかねる。

「うむ、儂は満足だ。協力に感謝するぞ、お主ら。これは約束の報酬だ。」

そう言うと、魔術師はアミュレットを、一体この場で誰に渡せばいいのか数秒固まったが、一番近くにいたし一番興味を持ってくれたということでレグホンに手渡された。

「あぁ、それとそこの冒険者を元に戻す方法だがの…

人間が接吻すれば元通りになるぞ。」

「……」

「……」

流石に、全員絶句。

「…もう一回お願いしていいかしら。」

「だから接吻――口づけで元に戻ると言ったのだ。古来、口づけには単なる愛情表現の他に、魂を分かちあうとか魔を断ち切るといった意味合いが含まれていたのだよ。今じゃ童話くらいでしか聞かぬ話だがね。」

「魂を…分かち…」

あ、これはもう一人くらい壊れる人がでてきそうな予感が。

「それとだ、口づける相手は童話のように、愛する相手や異性である必要はないぞ。それでは、協力まことに感謝する。」

そう言って、老人は満足そうに立ち去っていった。…その老人は思ったのだろう、これだけ告げれば、もうこの後誰かが口づけをし、無事にあの不憫な少女も死なずに済むだろうと。

それは、あまりにも甘かった。むしろここからが、彼女の不憫伝説の始まりだったのだ。


「……誰、でも…?」

「……チラ」

テラコッタがレグホンの方を見る。俯いて、ふるふる震えている。大体の予想はつくけど、ついてほしくないっていうのが本音だけど、これはきっと、

「…ンアアアアアァアアアアアアアアアアアアアアアァアアアア!!!!」

やっぱりだ、やっぱり愛のほうこう本日二回目である。

「れ、レグっちおちつ

「セルリアンと接吻!?せせせ接吻よ!?どうするの誰でもいいってことは私や親父さんでもいいってことよねうわああああんこれ私どうしたらいいのぉおおおおお!!」

「落ち着ついてよもー。ほら、完全セルリアンがおいてけぼり食らってるよー?」

そう言って、椅子の上にちょこんと座っているカエル、基不憫リーダーに目を配るように顔をくいっと動かして示唆する。その姿はあぁ、今日も貧乏くじか、と哀愁漂うリーダーのオーラがにじみ出ていた。

衣服はただいま絶賛レグホンが持っている。それはもう大事にホールディングしているので、落とすことはまーないだろう。

「…あああぁっ!!」

「ど、どうしました!?」

「セルリアン今裸体じゃないっ!!」

…いや、まぁ、カエルだからしょーがないんじゃないかなぁ?

と、そんなツッコミを入れられるのは最早テラコッタしかいない。が、何かもう色々関わりたくなくなってきたテラコッタは、そっとその言葉を心の中へと仕舞い込んだ。

「いーじゃねーかーセルリアンなんだし!」

「げこぉっ!?」

「ダメよ!仮にも花の乙女よ18歳よ!やっとお風呂一人で入れるようになって、一人で夜眠れるようになって、そんな子が裸で宿の見せ物なんて耐えられないわ!児童ポノレノで訴えられるわっていうかそんなことさせないしさせるつもりもないわだってだってだってそんな

「はいはい黙ってもう親父さんに解決してもらうよ?」

「げこ!?!?」

「ダメェエエエエエ!!」

流石にイラァッ☆と来たらしい親指を立て、ビッとグーを180°回転させる。そのまま唾をべっと吐き捨てて宿の床に落とすものだから、親父さんもこれには顔をしかめる…状況が状況なので黙っているが。

「…今何で親父さんを引き合いに出したんです?」

「え、もう面倒くさくなったら親父さんに全部解決してもりゃ早くね?って思って。あ、そのときは親父さんよろしく!」

「げこ、げこげこぉ!!」

「まぁ、ワシは構わんが…」

「やめたげてよぉ!!」

バンッと立ち上がって必死に抗議するレグホン。半分くらい涙目になっているような気がした。

「うーん?とりあえず、殴れば解決?」

「しないからぁ!!まずはそうね…裸という醜態をさらし続けるこの可哀想な状況を何とかするのよ!」

「いや接吻しよーよ。」

ぶっちゃけチュウしてしまえば全てが終わる。ただ、それ以上に耐えられない何かが彼女にはある、ほんっとただそれだけがこの状況をややこしくしている。

「レグホンさん考えました!こうやって、私の手の上にセルリアンさん置いて、私の服の袖を乗せてしまえば!」

「でかしたわ!よし、とりあえずはそれでいきましょう!」

「……」

セルリアン的には、布越しだから大丈夫とはいえオート死の接触ハンドに挟まれて、布の重みが微妙につらいこの現状よりかは、素直に椅子の上に置いていてほしいというのが本音だった。

「じゃあ次は私が『翻訳』の術式込めたリボン作るから、それまで

「そーゆーのもういいから。セルりんの意志なんか片っ端から無視したらいーんだって!」

「それは余りにも可哀想よ!」

「目を離したスキに焼きカエルにしてても文句はないな?」

「……」

ニヤリ、と笑う。彼女に対しての脅しというより、単純にそこのカエルを燃やしたいというその願望の現れには違いないのだが、いかんせん彼女が言うとただの脅しかいじめの言葉にしか聞こえない。

「…で、どすんの?誰がする?あ、いっとっけどボクはパスね?何が悲しくってセルりんと口づけなんてしなきゃいけないのそれだったら死んだ方がマシ一生の恥。」

「それな。激しく同意するぜ。」

「げこぉおおおお!!」

そこまで言うか、私が何をした、とでも言ったのだろう。ニタァと笑って、べぇっつにぃ?と、込められるだけ込めた悪意でとても悪い人の顔を作った。どこぞの青い神様に対になっている赤い神様もびっくりだ。

「というわけだ、ここは親父にちょっくら一発

「許さないわ、私が。」

スタッフを持ち、ニッコリ微笑む。流石にこうなってくると本格的にヤヴァイので、シャトルーズもおーこわいこわいとひっこむ。彼女の愛に敵う人はそーおらんのちゃうかな?

「そんな真っ向に否定することないだろう…ワシだって傷つくのだぞ?」

「初めてが親父さんとか一生立ち直れなくなるわ!仲間内なら皆女子!女の子補正でなかったことにできるわ!!」

「そーなのか?」

「知らないしボクに聞かないでよ。」

年齢を無視すれば可愛らしい首を傾げる仕草。その一言に、吐き捨てるようにテラコッタがきつく返す。女の子補正があっても、白い花が咲き乱れる世界ではカウントされることは今は無視するらしい。

「ていうかだったらさ、レグホンがチュウしたら問題ないんじゃないか?」

「うん全く持ってその通りすぎるね。」

「わ、私が…?」

「逆になんでその発想がないんだよ。」

考えれば当然である。セルリアンラブな彼女が何故しようとしないのか。さっきの魂がうんたらっていうのでも気にしてるのか。でもそれなら余計にワカチアイーしてはしゃぐオツジョがここに誕生しても何ら不思議ではないような。

が、彼女にも何か思うところがあるらしい。急に赤面して、頬に手を当てて俯く。

「い、いやだって、だってファーストよ?わ、私なんかがそのっていうかあの、初めてをセルリアンに捧げるそれが神に許される行為なのかって考えるとでもでもそりゃ私がしたいっていうかできればしたいし大好きなセルリアンのためっていうことでその唇がゲットできるのならそれはステキすぎることこの上ないんだけどでもでも

「はよやれ。」

一番平和解決な気しかしない。一名ほど、えーそこは親父の出番だろーと、残念がってる残念な秀麗がいるがそれはそれで。というか女の子補正が効くのではないのか。

ほら早く、と仲間の声でレグホンはカナリアの袖にくるまれているカエルもといセルリアンににじりよる。セルリアン的にはもう何でもいいから早く直して、というのが本音なのだが、そこはカエル、げこげこしか言えない。しかし黙って仲間たちの行く末を見届けようとする姿勢は、どことなく漢を感じる女だけど。

「…せ、セルリアン…ごめん、私なんかが…!」

「げこ。」

いいから早くして。その意味のげこが、一体彼女にどう捉えられたのか。赤面し、ひたすらに目線を合わせようとしない。合わせる必要性は何一つないと言えばないのだが。

「…い、いい?ホントにいい?」

「よぉーし!レグホンのためにコールを!ほーらいっき!いっき!!」

背後から主にサデスティック魔法使いと思われるコールのスタート。それに便乗してか、脳筋も楽しそうにいっき!いっき!のコール。その中に混じる、すっごいテキトーな拍手もあったりなかったり。

それが追い打ちをかけ、余計に顔が赤くなる。ぷるぷるしながらちょっとずつ、ちょっとずつ近づいていく。もういーから早くして?というセルリアンの意志をガン無視なところ、彼女も意志をくみ取る気ないのではなかろうか。

唇と唇がついに残り5センチほどになる。仲間の声援という名の嫌がらせもヒートアップしてきたころ、彼女はいっきに動いた。

「…やっぱムリィイイイイイ!!」

乙女のビンタ炸裂!極限にまで恥じらいという名のためにためた力を一気に解放し、理不尽な暴力がセルリアンを襲う!

「ゴッ」

ベチコォオオオンといい音の刹那、レグホンからいただいた加速度そのままで地面に叩きつけられ、ベシャァアアアアというあんまりな効果音が部屋に響きわたる。嫌な音がしていないところが不幸中の幸いか。セルリアンがカエルでなければ死んでいた。

「たーまやー、えらくぶっとばしたなぁ。」

「むっ、無理、私には無理よ!!やっぱり私なんかが神々に認められし神聖な唇を奪うことなんて無礼極まりないわできないのぉおおおお!!うわぁああああんごめんね、ごめんねセルリアン、私何の役にも立てなくてっ!!私ダメな女!ちょっと唇一つ重ねるだけで助けられるっていうのにそれができないなんてぇええええええ!!」

「その神聖な唇に結構ヒドイことしてるのはスルーなんだね?」

わんわん泣き出しているが、実際この場で一番泣きたいのはセルリアンだと思う。体を張って実験台になり、直してもらえるかと思いきや痛み倍増のビンタをいただき、挙げ句に地面に叩きつけられ生死をさまよう旅に出ようとしていたのだから。

 


そんなセルリアンは後ほど落ち着いたレグホンの手によって癒身の法をかけてもらい、一命をとりとめたのであった。

「…本当にごめんね…痛かったでしょう…?」

「げこ。」

気にするな、慣れている。その意味を込めたげこの一言は、とても重たい響きがあった。

そんなこんなで始まる第二ラウンド。一番平和解決と思ったレグホンは、意外と地雷の密集地帯であった。

「よかったね、セルリアンで。これがカナちゃんとかだったら罪悪感沸くよ。」

「それはあなたたちだけよ!私はそんな、彼女に酷いことできないわ!」

「したよな、ついさっき。」

「……」

シャトルーズの一言が言い返せず、しゅんと縮こまる。もういいよ、私は大丈夫だから。その男前な一言は、やはりげこげこという鳴き声だった。

因みに今は再びカナリアの袖の中に収まっている。やはりその辺は譲れないらしい。

「…で。親父さんの出番か。よっしゃあいけっ!君に決めた!」

「しないしません許しません。花の乙女の心を枯らす魔の一口、絶対にそれだけは阻止するわ。」

「どこぞの電気ネズミのようにピッカピカってかやかましいわ。」

普段ならハゲと言った者には裁きを、がモットーな親父さんだが、流石にここで制裁を下そうとなるとセルリアン放置プレイ問答無用になる気しかせず、そっと飲み込む。意外とこの親父は寛大であった。

「あのー…よければ、私がリーダーを助けるお手伝いをしますよ?」

おずおずと手を…上げれないので、控えめにカナリアが主張する。そういえばいた、完全盲点だった。というか、セルリアンの服で完結させていてすっかりその選択肢を忘れていた。

確かに彼女はリーダーと親しいし、性格も丸くて優しい。ほんとだ、多分一番の回答はこの子だったよ、何で忘れてたんだ。

「……ほんっとだ、なぁんでこんな可愛い子ちゃん忘れてたんだろうなぁーセルリアンよぉ。」

「げここ、げこ。」

この場で私に決定権はどーせないだろ、お前らが忘れてただけだろ。と、鋭いツッコミを入れても届かない。げとこしか伝えられない、何とも哀れかな。

「それじゃ、カナリアさんや、ちょちょっとお願いするぜ。」

「…そうね、カナリアなら――」

いいわ、とレグホンもオカンの認めをくだそうとしてハッと気がつく。

接触したか弱い者を死へと追いやる能力。発動させたくなくてもさせてしまう、亡霊のその呪われた力。

レイスのような死の接触ほど強力なものではなく、冒険者として鍛えられていれば悪影響を及ぼすだけで何とかなる場合が多い。が、今は、セルリアンは弱肉強食の中間やや下に君臨するカエルなのだ。

「…ストォップゥウウウウウウ!!」

ボグシャァアアアッと、再びインするオカンビンタ!口づける前に袖の中のカナリアの手にヒットし、揺れることでカエルがその中からポロリと落とすことによって、唇と唇の接触を回避することに成功した。

まあ、セルリアンは再び痛い目に遭うことになったが。今回はまだ自由落下による加速度しかないから、痛いけどさっきよりマシ。セルリアンでも死んでいたからまだまだマシ。

「ちぇっ、レグホン気づいちゃったかー。」

「絶対ここで息の根止めといた方がよかったって。」

「よくないわよ!早死もいいところっていうか!あなたたち気づいてたのなら言いなさいよあやうく南無三するところだったじゃないの!!」

それでよかったのにー、と残念そうな顔になる二人。で、まあ脳筋は相変わらずナンノコッチャ状態で目を点にしてにっこりしている。

「うわあああああセルリアンさんごめんなさいいいいいいい!!わざとじゃなかったんです、もし私がセルリアンさん助けれたらいいなって!それだけ!それだけだったんですうわあああああんわあああああん!!」

カナリアもすっかり忘れていたらしく思わず泣き出し、直接触れないように手で抱え込みわんわん声を出して涙をこぼす。彼女はとても嘘をつくような性格ではないので、これは本心からの涙だ。

その涙はセルリアンにいくつも落ちる。それでぺかーっと光って元に戻ったらイーハナシダナーなのだが、残念ながらそんな奇跡はここでは起きない。

「はいじゃあ次、親父さーん。」

「却下…でも、あと頼める人と言えば…」

ちらり、視線を向ける。その先には、薄紫のポニーテールの大人に見るには厳しい大人が一名。

そしてどういうことか分かってないというような表情。最早お約束レベルだ。

「…あたし?」

「以外に誰がいるのよ。」

レグホンは崇高すぎて手が出ず、カナリアは亡霊なので昇天させてしまい、テラコッタとシャトルーズは汚らわしい嫌だ、となるともう、ウィスタリアしか残っていない。

というか、ある意味適任じゃないだろうか。やったことを忘れてそもそもそんなもの無かった、ということで落ち着きそうだ。

「…で、何すればいいんだ?殴るのか?」

「さあ、行け、己のうなる拳に名をかけて!」

「殴ったら蜘蛛の糸で1時間ほど頭を下にして縛り付けるわね?」

洒落に聞こえないのが怖い。

「もう面倒だから単刀直入に。カエルにキスれ。」

まあ簡単なご説明、これならサルでも理解できる。経緯は分からずとも、何を求められ、どうすればいいのか。それはとりあえず、理由は分からなくても分かった。

「ん、いいぞ!任せろ!」

あぁ、やっと終わる。やっとこの、わけも分からずズルズル呪い解除に手間取っていた現実から解放される。

もうこの際誰でもいい。どうせ女子だし、これから私には男なんてできる未来などない。親父さん以外ならもう、この場の誰でもいいやむしろお願いします、直して。

…そのセルリアンの、『誰でも』という考えは今すぐ後悔させられることになった。

「じゃ、ちょっと借りるな!」

「あ」

そうだ、彼女は何故カナリアの袖の中に居たかを分かっていない。

それはいい。それはいいけど、分かっていた方が確実によかった。

「ゲボッ」

メキャアッと、明らか嫌な音が。


あぁ、こいつ。

 

…握りしめた…!


「じゃあいっくぞカエル!」

ちゅっ…という、可愛い効果音ではなく、もっと豪快な何か別のものを彷彿とさせられるような、そんな接吻の音が聞こえる。

それは、あまりにも擬音語にするには生々しすぎたので、ここでは割愛しておく。

とまあ、そんなこんなで、再び変身したときと同じような現象が起こり、セルリアンは無事、人の体へと戻ったのであった。

「おーセルリアンだ!すっげぇ、戻った戻った!」

刹那、彼女はその場へ倒れる。先ほど握りつぶされたので完全KOとなり、むしろ生きている方が不思議であった。

勿論、全裸である。

「って、あっれーセルリアン?おーい起きろー、そんなところで全裸で寝てたら風邪引くぞー?」

「あっはははは!これは傑作だ、女体盛りが地面にできてるあっははははははは!!」

間違った方向に心配する脳筋と、ゲラゲラ笑って腹筋崩壊させる魔法使い。

唯一の頼みの綱は、

「…セルリアンの…らたっ…ああ、わ、私なんかが…私なんかが…ぁあああああんっ!!」

しばらく震え、恐れおののきながら、しかしどこか恍惚で幸せそうな笑みを浮かべながら同様に倒れていった。

「あ、あわわわわわセルリアンさん!レグホンさん!しっかりしてください!!て、テラコッタさん、二人を助けて――」

そっと、彼女の居た方に目をやって気がつく。そこには、一枚のメモが。

『オチが読める。逃げるから探さないでね☆』

「…あああああんどうしましょうどうしましょうどうしましょぉおおおおおお!!」

「お、おいお前!ワシはレグホンを運ぶから、セルリアンを運んでくれ!」

「え、ええお父さん分かったわ!」

「うわぁああああん私亡霊だから下手に手を出せないうわあぁあああああんうわぁあああああん!!」

「お、落ち着け、カナリアほら落ち着けええええええ!!」

阿鼻叫喚。彩華が居るこの宿、『煌々亭(こうこうてい)』に少女の鳴き声と女性の笑い声が高らかに響きわたり、近所迷惑を働くのでした。

 

ちなみにその混沌とした事態は、レグホンさんがセルリアンの危機を感じ取り、リバイブしてオカンパワー零式で死の淵からおかえりなさいしたというが、今や伝説となり、親父と娘さんの記憶の中だけで語られている。

 

 

あとがき。
周摩さんからリクエストを受け取って、こいつらで『老魔術師のお戯れ』のリプレイでした!
やばいね、予想以上にうちのパーティ病気だわ!!


著作権表記。
シナリオ:老魔術師のお戯れ 丸平お園様

老魔術師のお戯れ 上

※東方ではなく、完全にうちのオリキャラさんたちのリプレイです。

※はいずっと前に紹介したテンションたっかいあいつらです。

 

 

 

彩華(さいか)という、駆け出しのパーティという名の問題児の集い。比較的まともな人もいるものの、圧倒的問題児を3人ほど抱える、皆大好き親父さん泣かせのそんなチームがある。
最も、親父さんだけが泣いているかというとそういうわけでもなく、そんな仲間を抱えた比較的マトモーなリーダーもなかなか苦労しているわけで。不憫さならこのチームが滞在している都市、リューンの中なら1位も夢ではない。

と、まあ。そんなパーティの、そんな不憫リーダーは朝から不憫な目に遭っていた。

「おはようセルリアン…って、なんかすっごい不機嫌そうね…」

セルリアンというのはその例の不憫リーダーである。水色の短い髪の毛と、女子かと疑いたくなるようなまな板っぷりが特徴的な列記とした女子だ。対してそんな言葉を投げかけたのはセルリアンよりも身長も胸もカリスマも女子力も高い、このチームのオカン担当レグホン。白い髪を緩めに束ね、それを肩から前に垂らしているところが余計にオカン臭を漂わせているしかし17歳というピッチピチの若者である。

その言葉を聞いて、一つため息をついてレグホンの隣に座る。他の仲間はすでに全員起きていたようで、すでにいつもの6人がそこに並んでいた。

「何があったの。」

「…ウィスタリアに蹴られた。」

ウィスタリア、チームの肉体担当。薄紫のポニーテールが上品さを…醸し出しているのかもしれないが、それよりも持ち前の鍛え上げられたボディと、全く構わない脳筋っぷりが全部台無しにしてくれている。

名前を呼ばれて本人はきょとんとしている。どうやら自覚はないらしい。

「ちょっと待って、全員個室だったわよねうちのパーティー。」

「そうだ…だが…突き破ってきたんだよバカかこいつそうだバカだったよ!!」

全員個室の理由はチームの大半が個室を希望したからという割となんでもない理由から。ただ、ちょうどセルリアンの隣の個室がウィスタリアの部屋で、どうも寝ている内に壁を貫通して頭を蹴り飛ばしたらしい。セルリアンでなければ死んでいた。

「あ、そうだった?てっきりその穴、セルリアンが開けたもんだって

「んなわけないだろ!!なんだお前どういう寝方してるんだ何をどうしたらこうなるんだおっかしいだろ!!」

「そう言われてもさぁー、夢の中で巨大アザラシと戦ってたんだし、そのくらい許してくれよー。」

一応悪いとは思っているらしく、手を合わせて頭を何度も下げる。必死に大人が若者に謝る姿はなんとも滑稽に見える。
彼女が大人に見えるかどうかという問題はさておいて。

「セルりん、質問。壁の修理代、まさかパーティ財産からって言わないよね?」

「それしかないだろ…って、すっごく納得しない顔してるな。」

「あったり前じゃん!!何が悲しくて全く関係してないあたしらにも被害出るのさ!リーダーの個別資金から出せばいいじゃんか!!」

ガタァッと椅子をひっくり返して立ち上がるのは、オレンジ色の小さなツインテールを揺らすまだまだ少女のテラコッタ。問題児その2である。

彼女は人という人を信じず、自己中心的な考え方しかできない。他人の為に自分が何かするは?何言ってんの寝言は寝て言え思考の彼女にとって、パーティ資産から個人の問題に当てられるというのが非情に納得できないらしい。

「何で被害者の私が出さなきゃいけないんだ!大体、嫌ならウィスタリアに言えよ!」

「言ったところで忘れるでしょ!被害者のセルりんが何とかすりゃいーじゃん!」

「訳が分からん被害者が金出すのはカツアゲだけでいーわ!」

「じゃあもういっそカツアゲされろー!!」

「わ、け、喧嘩はだめですよー!」

喧嘩(というか不毛な争い)を始めた二人の仲裁に入るのは、どことなく高貴なお嬢様といった雰囲気を醸し出すゆるふわ系女子のカナリア。彼女は亡霊であり、か弱い生命なら触れただけでそのものを死へと誘うことができてしまう。故に袖の長い服で決して手が出ないようにし、何とかこうして普通の仲間として過ごしている。

なお、亡霊になった理由は割としょうもないので、ここでは割愛しておく。

「あーもうっ、分かったわよ!私のお金から出せば何も問題ないでしょ!」

「ダメダメ、レグっちはこれに何も関与してないよ!払う理由が何にもないって!」

「おい私と比べてめちゃくちゃ真っ当なこといってないか?」

これが不憫とママンの違いである。何となく、セルリアンに対してはむちゃくちゃいってもいいが、レグホンに言っては何かこう、子供がお母さんのいいつけを守らないみたいな、そんな気持ちになるのであった。オカンパワー恐るべし。

「…レグホン、そういうお金の使い方、嫌いじゃねぇぜ?」

「シャトルーズは単純に自分関与の出費にしたくないだけでしょーが。」

シャトルーズと呼ばれた女性はご名答と言わんばかりにピースをしてみせる。やれやれと、思わずため息をついた。

この女性はこのパーティの一番の問題児。秀麗なその容姿とは裏腹に、やることなすこと過激でサディスティック。他人の不幸は私の主食とでも言わんばかりのサドである。その様子故に、彩華のラスボスとまで言われる始末である。

「…いいよ、もう。パーティ資金で。」

「はいはーい。差し引かれた分セルリアンの懐から抜いておけば

「やめろただでさえなんか減ってるんだ。」

お金の管理は基本的にセルリアンがやっている。他の仲間には不安要素しかないし、レグホンに頼むのは何となく気が引けた。

彼女はオカン属性からか、仲間の雑用を言われなくてもやってくれる。その陰の苦労を知っているからこそ、セルリアンは頼むに頼めなかったのだ。それはもう、お母さんのお手伝いをするような子供の如し。どっちが年上とは言わんけど。

「あ、それ多分あたしのせいだわはははザマァ。」

「お前のせいか!そんな気はしてたけどお前のせいか!!」

寝ているところでも狙ったのだろうか。というかこの人なら素で脅してぶん取っていけるような気がしないでもない。というより、そんな気しかしない。

と、まぁこんな至って日常的なやりとりをしていると、普通なら宿の親父さんが絡んでくるところ。しかし今日は絡むどころか、娘さんと何やらコソコソ話をしていたのだ。

「水しか注文しないし、訳の分からない本読みながらブツブツ言ってるし…気味が悪いわよ。」

「おいおい、客をそんな風に言うもんじゃないぞ。確かに水しか頼まんのは困りもんだが…」

「どうした、何の話だ?」

仲間との会話を打ち切り、親父さんたちにセルリアンが尋ねる。全員揃っていたことに今更気づいたらしい、お前等かと全員の顔を確認した後、目線を配って離れた席にいる一人の老人を示唆した。

魔術師風のローブに身を包んだその老人は、酒場の隅の席に陣取って熱心に読書にふけっている。

魔術となると、少なからず反応する人がこのパーティには2人ほど存在するわけで。

「魔術。」

「ほうほうほうほう?」

僧侶のレグホン、魔術師のシャトルーズがガタンッと音を立てて席を立つ。横で呆れたと言わんばかりにテラコッタが小さなため息をついた。

後者は分かるが、前者は何故か。レグホンは魔法の術式を織物に込め、マジックアイテムを作ることができる。彼女自身魔術を組み立てる知識がないので、他の人の術式を自身で理解し、組み立てるという手段を取らざるを得ないのだ。

…十分それだけでも賢者の塔に買ってもらえるものであるし、魔術師に匹敵するような気はする。

「…何か頷いたりブツブツ言ってて不気味です…」

「お前が言うかそれ。」

亡霊カナリアの不気味だという一言。お前が言うなぁああああ!!の一言をあの赤い髪の毛のイケメンなら言ってくれたに違いない。

今のところ、宿に他の客はいない。しかし、やってきたならその老人の不気味さから来店ダッシュ不可避だろう。不気味なんだもん。

「…うーん、古代語だから私は分からないわね。」

「魔術に対してそれなりの知識がないと、まず読めねぇってことだな…うぅーん、気になる!」

「…セルりん、面倒ごとの予感がするから二人なだめてよ。」

「片方はともかくもう片方は炭確定じゃないか。」

セルりんだから何にも問題ないでしょー?と言いたげに軽くにらみつける。口に出して、大声でツッコミを入れられて、あの老婆がこっちの現状に興味を向けられるのが面倒だと判断したテラコッタだった。

「…ん?」

まあ、どっちみち気づかれたわけだが。

「何だ、そこの。この本に興味があるのか?」

「ないよ、ただ

「ある!」

「超あるッ!!」

あーあ、やっちゃった、白いのと赤いのが反応しちゃった。それはもう、餌を待つ観光地スポットの鯉そのものである。

…テラコッタは心底めんどくさそうな顔をし、ウィスタリアに至っては笑顔で首を傾げている。もうこの時点で状況把握できていないだろうこの脳筋めが。

「ふむ、そういうことであれば、少しばかりこの老いぼれの時間につき合ってくれ。…そこの嬢ちゃんが不服そうだから、つき合ってくれるのであればこれをやろうぞ。」

そう言うと、老人は仲間達の元へえっちらおっちら近づくと、服の中をごそごそとし、アミュレットをほれと彩華のメンバーたちに見せる。話によれば、それは200spほどの売値になるアイテムだそうだ。

「…やっす。」

「何言ってるのよ、興味持ったのは元々こっちだし、それに加えて報酬もくれるっていうのよ、ありがたすぎるわ。」

それは君らが反応するからじゃんか、とぼそり小声で呟く。聞こえたらしく、苦笑しながらレグホンはそっと手を合わせた。え、シャトルーズさん?ワールドイズマインのあの人が謝罪の心を持ち合わせているはずがない。

「…で、だ。あたし達はどうすりゃいいんだ?」

「何簡単なこと、儂の腕試しにつき合ってもらうだけだ。この本には人間を動物に変える魔術について書かれた本でな……って、どうした?」

『人間を動物に変える』、ここまで聞いて二人のうち、赤い魔術師はじゃあいいや、とにこやかに後ろに戻る。逆にもう一人の白い僧侶はがっつり興味津々になっていた。

シャトルーズには、「攻撃魔法いず最強」という美学が築かれており、自分の美学に通じる魔法にはとことん興味があるが、それ以外にはとことん興味がないのだ。炎の術式を中心に扱う彼女だが、属性自体は興味対象には入らないらしい(しかしやはり炎系の術式を多様しているが)。対してレグホンは布に術式を織り込むため、『自分の知らない術式』となるととことん興味を持つ。
…何やらタチの悪い品ができそうな未来しかできないというのはさておき。

「…レグホンさんは流石ですねぇ…」

「な。あいつたまに聖職者ってこと疑いたくなるんだ。」

と、カナリアとセルリアンの声が聞こえたか聞こえてないかは分からないが、レグホンは続けて続けてと、老人に催促する。かなり神妙な顔をしていたが、まあいっかと一つ咳払いをして再び話し始めた。

「…コホン、でだ。読んでいるうちに儂にも使いこなせるかどうか試したくなっての。よかったら実験台になってくれんか。

なぁに、失敗してもお主等に危険が及ぶことはない。この魔法においての失敗とは、全く何の効果も表れないことを意味するからの。」

そこまで話して、一息つく。一名を除いての仲間はただぼんやりと聞いていたが、ふと疑問がでてきたカナリアが疑問を投げかけた。

「あの、変身したあとに元の姿に戻る方法はあるのでしょうか?」

「無論。元に戻すのは赤子をあやすよりも簡単だぞ。」

その一言にほっとなで下ろすカナリア。亡霊となる経験をした彼女は、危険が少しでも感じられる状況下ではやたら神経質になる。普段は抹茶でも飲みながらほげーっとしているマイペース娘だというのに、こんな謎の切り替わりがある。謎い。

「…で、レグっちどーすんの?信じんの?」

「おいこらリーダー無視か。」

「ばーか、ほっとんどレグっちが決定権握ってるようなもんじゃんか。ガッツリ食いついてるのレグっちだし。」

それは普通の依頼でも私最優先で尋ねるか。やだなぁー尋ねるわけないじゃん決まってるじゃん。

目線だけでそんな二言ほどやりとりをし、ちらりとレグホンの方を見る。受けちゃダメですか?という、子供のおねだり顔負けのキラキラビームだ。

「…しょうがないな、いいよ、つき合ってやる。」

「あっありがとう!ごめんね、私のわがままなのにじゃあご老人お願いしますセルリアンに!」

「ファッ!?」

綺麗にオーダー入りましたー。まさかというか、ある意味お約束とも言えるこの展開、流石にツッコミを入れるしかない。

なお、傍らで相変わらず首を傾げている脳筋がいるのはまた別のお話。

「ストォオオオップ!何で私なんだ!?そこは流れ的にレグホンじゃないのか!!」

「はぁ…とことん馬鹿だね。魔法とかしょーじきよく分かんないけど、術式とか効果とか見てないとレグっちのためなんないじゃん?」

「そうだー?ほら、レグホンのためにも、お前がニエになってだなぁ?」

「間違いなくお前等は『セルリアンだから』のその一言の理由だろうがぁああああ!!」

バレたかぁえっへぇーと、頭をグーでお茶目にコツンとしてみせる二人。片方はともかく、もう片方は年齢的に見せる暴力である。

「っていうか、『つき合ってやる』言っちゃったしね。そこは責任取ろうね?」

「ほらほら、男見せろよ男を!」

「私は女だぁあああああ!!」

がおーと、天をも轟かせるリーダーの哀れなる咆哮。相変わらずの無駄な抵抗である。

しかしテラコッタの言うことは間違っても正論である。レグホンと亡霊でどうなるか全く想像がつかないカナリアを除外すると、そうなったら我らがやっかいなお荷物持ちセルリアン!となるわけで。

え、残りの3人?何でセルリアンがいるのに私がっていうか何で私なの関係ないのに、という顔をしていますね?

「まーあー?ぶっちゃけー?リーダーが引き受けなくて泣くのってレグホンだしぃー?あたしら関係ねぇーしぃー?」

「レグっちかっわいそー…自分の気になる魔法のために、仲間の助けを借りようとしても誰も手をさしのべてくれないなんてっ…!」

「お前等がやれよそしたらぁああああ!!もういーよ分かった、私にかけろその魔法!!」

ついに腹をくくったらしい。椅子を老人の前にデンッと置いてドンッと座る。流石にそんなやりとりをされてはレグホンとしても心が痛いわけで、さっきから謝罪と別にいいという言葉の連続である。

「…凄い仲間を持っているな。」

「自慢できるレベルだろう。ふふっ、お陰でな…胃が痛いんだ…」

あー、と、納得するしかなかった。乾いた笑みからこれまでの悲痛さが伺われる。

神よ、一体この若者にどれほどの重荷を背負わせたというのか…

「…本当によいか?いやなんていうか、覚悟というかその…」

「大丈夫だ…死には、しないんだろう…?」

それは、生き地獄というのではなかろうか、と老人はツッコもうとしたが、言ってしまえば色々と精神的に崩れさる気がして黙るしかなかった。

「で、では目を閉じて、出来るだけ何も考えんようにしてくれ。」

「分かった。」

「セルリアーン、遺書、書かなくていいのかー?」

「死なないからいい!!」

そんなやりとりを見せられると、うっかり死ぬような事態にしちゃったら……死ぬな、この仲間的に。

謎のプレッシャーに襲わされるその一言。一つ深呼吸し、再び呪文書の文字に目をやる。

「では改めて、始めるぞ。」

老人はセルリアンの額に右手の人差し指を当てながら、呪文の言葉を紡ぎ始めた。

「~~~~~~、~~、~~~~~」

魔法に疎いものには何を言っているかは皆目分からない。…端から聞こうとしている者がこの場にほっとんど居ないというのもあるが。

「…ふんっ!!」

老人が念を込めると、酒場に爆発のような音が響きわたり、それと同時に白煙が一面の視界を覆い尽くす。
程なくして白煙は消え、そこで仲間達が目にしたものは、ついさっきまでセルリアンが腰掛けていた席に脱ぎ捨てられた服だった。

「この服…セルリアンの…」

一番近場に居たレグホンが、彼女の服を持ち上げる。すると、そこには一匹の大きな――

 

「……」

 

  蛙が、いた。

 

 


下に続く

 

遊びすぎた。

オレカバトルのキャンペーンで、「1500円以上オレカ関連グッズを買ったらホワイトブルードラゴンがついてくるよ!」っていうあれで。

ドラゴン、中でもブルードラゴン系統が大好きな私としてはそれにガタァンとなり、そんなこんなでこうなりました。

 

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ホワイトブルードラゴン召喚の儀式

タンタ7体、バーン1体ですバーンボッチ。

 

とりあえずフィギュア、東方の前にずらっと並べるかそうしようそしたらあんまり違和感ないよきっと

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立てよタンタ バーンが一人無双したみたいじゃないか

恐ろしくこのタンタ立たなくてですね。びっくりするぐらい立たなくてですね。逆にバーンの安定さがハンパなくてこんなことになりましたよ。

しかしこれはタンタがあんまりにもあんまりだわ。もうちょい、もうちょいこう、なんとかならないか。

 

ということで、第1案

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衣に巻き込んでみたぐ、ぐわあああああああ!!

見事に絡め取られた感じですねバーンぼっちですよもう。

 

 

第2案

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スカートに飾ってみたぐ、ぐわあああああああ!!

頭に血が上ること確定ですねバーンはいません。

 

 

第3案

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お命頂戴いたしまする

しかしこっから宝塔レーザーで燃されそうですね本当にありがとうございました。

 

 

…で、だ。このタンタどうするよ。

東方リプレイ1-8 『緋の風が妖しく輝き』

しばらく更新していなかった理由。展開があんまりにもあんまりだったんで書き直そうかずっと考えてました。結局めんど…時間が取れそうになかったのでそのままですてへ!!

 

 

「…皆っ!その人の言うことは本当!」

「は、何言ってーー」

「もし追われてる身なら!あたしならローブを着たりしてない!」

そう、特徴にあったのは、『ローブを着た小柄な女性』。つまり、ローブを脱いでしまえば当てはまる条件は『小柄な女性』だけになる。それに当てはまる人はリューンに多数いる以上、まずいきなり疑われる、ということはなくなるだろう。

しかし、彼女はそれでもなお着ている。ということは、そのような情報が流れているということを知らなかったからではないか。

そして、知らなかったが、嘘と根拠づける何かが彼女にはあったのではないか。

そう、睨んだ。

「…ローブが脱げないことに理由があるのは考えられないかしら?」

「吸血鬼みたいに日の光に弱い種族ならともかくとして…彼女に、何がある?」

まだ正体を早苗にしか明かしていない以上、気づいてもらう方法しか取れない。早苗は最初は首を傾げていたが、唐突にハッとした。どうやら気がついたようだ。

神、それも東国の神で日の光に弱い神は一般的には聞かない。もしかしたら居るのかもしれないが、少なくとも二人は知らない。

「……」

スッと、武器をしまう。穣子の主張に納得したというよりは、穣子がそこまで止める何か別の理由がある、ということからだった。

今の彼女は、悪人だと思った人物には容赦はしない。信用できないと思えば疑ってかかる。そんな穣子が、止めるのだ。

ただ、止めるのが遅かったせいで、ローブはすでにボロボロになり、あちこちに赤い血飛沫が飛散していた。今もなお、体のあちこちからはポタポタと滴がこぼれ落ちる。

「…ごめんね、呼んだの、あたしだったのに。来たら来たで止めちゃって。」

「その間に何か揺れ動かされたってことでしょ。…ただ、あたしは謝らないわよ。疑いが晴れたわけでもないし、疑うような行動を取ったわけなんだから。」

そう言って、早苗は彼女を睨みつける。息を荒げ、立っていられなくなり、その場にうずくまっていた。

「あら残念。もうちょっと痛めつけてくれても良かったのに。」

と、唐突に外野の声。誰のものかと当たりを見回すが誰も居ない。

「…!上っ…」

早苗が気がついたのは、屋根の上の一つの影だった。バレたことを相手が悟ると、そこから一気に飛び降りた…が、地面の近くまで来ると落下速度が急激に落ち、ふわりとその場に舞い降りた。

「…巫女ね。そいつに仕えてるのかしら?」

「あらやだ冗談を。誰がこんな低俗な神に従えっていうのよ。こいつはただの私の道具よ。」

「なーー」

ガッと、その巫女は道具と言われた彼女の頭を掴む。痛そうなうめき声をあげるも、反撃できるような気力は残っていなかった。

「私は神に従うんじゃなくて、神を制圧するの。3、4柱くらいはもう思いのまま操れるようになったんだけど…こいつ、力が本当に弱いくせにやたら反抗的でねぇ。一回は捨てたんだけど、そしたら面白いことになってたから、また拾ったわけ。

余計面倒なことになって手を煩わせるから、こうして嘘の張り紙を出しておいて、誰かに痛めつけてもらってから私が回収してその力を貰おうって思って。結果オーライだからいいんだけど。」

ありがとうね、と言ってくるりと背を向ける。乱雑に頭を捕まれ、引きずられる形となっても彼女は動かなかった。

…巫女の言動通りとなるのならば、彼女は巫女に無理矢理力を貸し、こき使われることになるのだろう。抵抗することも許されないまま、言われるがまま、使われるまま。まるで、道具のように。
「あ、そうそう、そこのちっちゃい神ちゃん。あんたの力も前々から狙ってたんだけど、手伝ってくれたから見逃してあげるわ。東国に行けば、嫌なほど狩れるしね。」

今度こそじゃあね、とひらひら片手を振る。その刹那、本当に小さな声で、微笑みが含んだそれは聞こえた。

 ー良かった、と。

「…だから。」

穣子の指から、一本の光の矢が放たれる。わざと、相手の頬を掠める掠めない、ギリギリのところに。

「…だから、リューンから離れて、って…その人言ったんだ。あたしを守るために、そう言ったんだ…!」

神である以上、巫女に霊力を読まれ、正体が知られてしまうのは仕方のないこと。故に、自分の知らないところで前々から目をつけられていたのだろう。

それを知っていたから、彼女は小さな神が囚われの身にならないよう、逃がそうとした。本来の目的は、そこにあった。

まだ分からないことはあるが、確実に分かったことがある。

「…させない…許さない…君が低俗呼ばわりした神は、誰よりも純粋でずっと優しい…それが分からないような人に、好き勝手させるもんか!」

杖を、握る。怯えの表情は無い。

「…は?あんた、私に勝てるとでも思ってるわけ?あんたも…私の道具になりたいの?それはそれで大歓迎なんだけど。」

「道具ってのは。」

すっと、横に並ぶ。ずっと黙っていた雷鼓だった。

「確かに誰かに使われて、初めて道具って成りえる。けど、道具には権利がある。幸せに使われる権利さ。

君は間違ってる。使われることに喜びを覚える、この人の為なら全力を尽くせる。そう思わせるのが、使い主の役目であって、それが果たされるってのが道具の権利。権利なしの駆使は…ただの下僕扱いだ!」

刀を構え、相手に向かって走り出す。敵う敵わないの問題はそこにはない。許せない、解せない。怒りによる攻撃は単調で、すぐに読まれて避けられてしまう。

「ふんっ、命知らずねー」

片手を出し、霊力を込める。神を飲んだ、巫女の霊力は相当なものだ。早苗がすぐに避けるように叫ぶも、その声は届かない。

込められたそれが、一気に雷鼓に、

「……な…」

届かなかった。

「やれやれ、無鉄砲な奴らめ。私が来なかったら死んでいたぞ。」

かつんーーと、小さな音が響きわたる。それとほぼ同時に、雷鼓の刀が巫女の体を貫いていた。

「ら、藍!?」

八雲藍。『妖々花』の参謀を勤める、金髪で長身の女性。鋭く尖った、万物を射抜くかのような瞳は冷たさを放つ。にやりと笑って、その瞳巫女をじっと見つめる。

「くそ…よくも…!」

「守矢の巫女、この間もらった札を使わせてもらった。ま、一発ネタだが、今のような使い方をすれば結構役に立つものだろ?」

発動しなかったのは何故か。それは、行動前に張られた一枚の札のせいだった。

それは霊力の流れを遮断させるもの。外から霊力を取り込むことができないし、出すこともできない。かなり限定的なシチュエーションでしか使えない上、作るのは簡単なので、早苗は藍に数枚譲ったのだ。

ただその札は張られた本人でも触れることができる。ベリッと音を立てて剥がし、引き抜く動作に移行した直後の雷鼓に再び力を駆使しようとする。

「はいはい、そのくらいにしなさい。数でもだけど、質でも負けてるのよ。」

「ーーっ」

これもまた中断させられる。何かに縛られたといった感じで、今度は体が動かなかった。

離れたところに一つの影。『妖々花』のもう一人の魔法使い、アリス・マーガトロイドだ。

双牙亭の数少ない西洋の者。ふんわりとした金髪をなびかせて、人形のような可愛らしい笑みを浮かべる。手には数本のワイヤーのようなものが握られていた。

彼女は人形を扱った魔法を駆使し、魔力を駆使して物理的な現象を起こす。かと思いきや、人形から魔法を放ち始めるから攻撃方法はかなり豊富だ。

「…あんたも居るってことは。」

「勿論、私も居ますよ。」

それから、リーダーの妖夢。もうこうなってしまうと、勝ち目は決定したも同然だった。

フルメンバーが集ったのかと思ったが、どうやらこれで最後のようで、残りの3人はここには居ないようだ。

「…つけてたの?」

「いえ、私たちはただの依頼でその女性…そっちの巫女の方を探していたのです。結構過激なことをする方だったようでして、自警団から捕らてほしいという依頼がありました。2000spとはかなりの実力者でしょうが…藍やアリスの前では無力ですね。」

結局、私は今回もいいとこなしですね、と苦笑する。単なる偶然にはできすぎている。もしかしたら本当は心配になって追ってきたのかもしれない。

「後は私たちがこいつを何とかするから…お前らは、そこのローブ被ってるやつを何とかしろ。」

その言葉と共に、藍は一つの依頼書を衣玖に手渡す。

それは、彼女が宿を出るときに見たものだった。

渡された意味。衣玖はすぐに、それを理解した。

  ・
  ・

「…大丈夫?」

穣子が『穀物神の約束』で傷を癒す。放っておいてもそれほど時間が経たない内に治るのだろうが、そのままにはとてもできなかった。

「大丈夫よ…皆さんも、ご迷惑をおかけいたしました。」

ボロボロになったローブをまとったまま、深く頭を下げる。意地でもそれを手放す気はないようだ。

あのままあの巫女は自警団の方へと連れていかれた。高額の報酬が入ることによって、今晩は飲み会が開かれるかもしれない。

そして、嘘の依頼書であっても、荷担していたことには変わりないわけで。

「…分かっています。不本意であれ、手を貸していたという事実には変わりありませんから。…私も、罪を償います。」

「…って言ってるけど、どうするのリーダー。」

にやりと笑って、早苗が衣玖に尋ねる。どう返答するか、分かっているかのような表情で。

「決まっています。貴方は確かに、罪を償う必要があるかもしれません。私には分かりませんが、罰せられないと許せないものがあるのでしょう。それでしたら、償えばいい…しかし、それは貴方の行こうとしているところではありません。」

ビリィッと、持っていた依頼書を破る。二回、三回…破られた紙は、風に乗ってどこかへ飛んでいく。

振り返る。4人の仲間は何をするか分かったように、こくりと頷く。無言の同意。それがあったら、もう十分だ。

「…いらっしゃい、私たちのチームへ!」

「…っ!」

予想していなかったのだろう、体を強ばらせる。表情はちゃんと見えないが、どんな表情をしているのかは容易に想像できた。

「…あの、でも…私……仲間になるわけには…こんな姿ですし…」

ローブで顔を隠すよう、深く被り直す。その姿を見て、穣子が動く。

「気になってたんだけど、どうして姿隠すの。見ちゃいけない何かでもある?」

「…あの、その…」

口ごもり、黙る。いい加減じれったくなったのか、あああもぉおおおおお!!と、奇声を発した早苗が距離を詰め、一気にボロ布と化したそれを奪い取った。

「ーーっ」

あまりの不意打ちに対応できず、ずっと隠されていた顔が露わになる。そこには、植物のようなツタが絡みつき、緑っぽく変色した皮膚…とても人とは思えない異形の顔がそこにはあった。

ずっと、これを見られたくなくて隠していたのだろう。受け入れられるわけがない、気持ち悪いこれを晒すなど。そうやって、恐れてきたに違いない。

「…『ディリマの秘儀』。体に根を張って、魔力よりも純粋な、精霊のような力を駆使して行われる魔術。植物と一体化するけど、慣れないうちはその植物を隠すことができない…」

「……」

これで分かった?と、憂いを帯びた悲しそうな笑みを浮かべる。仲間一同、それに対して各で目配りする。

はぁ、と一つため息をつき、のぞき込むようにして、

「なぁんだ、つまんない。」

呆れたような声で言った。

「えっ、だ、だって、こんな…」

「もっと面白い顔してるのかと思ったんだけどなー。こう、ゴブリンとコボルトが混じったみたいな、そんなめっちゃくちゃな。『森の賢者』を名乗る駆け出しの人って皆そうじゃん。無個性、当たり前。そんなのでいちいち悩むなんて、うちでは無意味だね。」

「そうそう、うちはなんて言っても、寛大さがウリだもの!ねっ皆も別に、あれ面白い顔って思うでしょ?」

「面白いは失礼ですよ、気にしていらっしゃるのですから…でも、私はよろしいと思いますよ。」

「いい個性だと思うぞ!ほっとんどの人には無い、いい特徴だ!」

「ちょっとびっくりしちゃったけど…でも、私も…気にすることないと思うよ…」

「…皆さん…」

5人それぞれの意見は違えど、皆それをいいものだと思っている。ここのチームには、受け入れない者は居ない。

「…ありがとう……ございます…みなさ…」

「あらら、泣いちゃった。あたし達の居るところ、皆個性的だからね。顔がちょっと愉快なことになってるだけじゃあ、なっかなか目立て無いよ。」

そう言って、手を差し出す。手にもツタのようなものが張っていたが、穣子は全く気にしなかった。

久々に握った、誰かの手。それはとても、暖かくて、優しかった。

 

 

 

 

も の す ご く て ん か い が き に い り ま せ ん 。

藍しゃまらが駆けつけるのは全然問題ない。その予定だったから。でもね、これよく考えるとみのりんの証明がめちゃくちゃなのよね。多分、それでなんか、こうもジタゴロしてます。

 

著作権

『ディリマの秘儀』のくだり

…『白亜の城』 jim様